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川崎市ふれあい館に対する脅迫行為を厳しく非難する声明

本年1月4日、神奈川県川崎市内所在の在日外国人との交流を目的とした公設民営施設である「川崎市ふれあい館」に、在日コリアンへの殺害を予告する内容の年賀はがきが送付された。当該葉書には、「在日韓国朝鮮人をこの世から抹殺しよう。生き残りがいたら、残酷に殺して行こう」と記載されており、これは同施設及び施設を利用する在日外国人に対する脅迫そのものである。


「川崎市ふれあい館」は、在日コリアンが多く住む川崎南部の工業地帯に隣接する地域にあり、民間の社会福祉法人が運営している。同法人は1988年に、在日コリアンと日本人が共同で民族差別をなくす市民運動や地域活動を推し進める中から生まれた。そして学校で孤立する在日コリアンの居場所を作ったり、在日1世の高齢者の福祉も手掛ける目的で同施設を設置し、民族差別解消・撤廃に向けて取り組んでいる。


近年、メディア等で日韓、日朝関係の悪化が報じられると、同施設に嫌がらせの電話や手紙が届くようになり、差別による憎悪の標的となっていた。


また、2015年末頃から、同施設の周辺地域でいわゆるヘイトデモが繰り返されるようになり、とりわけ2016年1月には、「朝鮮人はわが国にとって敵であります。敵に対して出ていけだの、死ねだの、何を言ってもこんなものは差別には当たりません。」「みなさん、堂々と言いましょう!朝鮮人は出て行け。朝鮮人は出て行け、ゴキブリだ!ゴキブリ朝鮮人は出て行け。」等と叫ぶ悪質なヘイトデモが行われた。


このため、当該法人の代表理事らで構成される「ヘイトスピーチを許さないかわさき市民ネットワーク」が中心となり、立法や自治体に働きかけ、2016年5月には国会でヘイトスピーチ解消法が成立し、そして、川崎市では2019年12月にヘイトスピーチに対して一定の条件の下、刑事罰を科す全国初の条例が成立することとなったものである。


本件は、川崎市の多文化共生の象徴であり、また、ヘイトスピーチ解消法や条例の成立など法整備について世論を牽引してきた同施設及び施設を利用する在日コリアンを狙い撃ちした極めて卑劣な行為である。


そして本件については、単なる脅迫であるにとどまらず、差別的感情によるジェノサイドをも惹起させる。神奈川県においては、2016年7月に障害がい者施設において障がい者に対する差別的な思想に基づく大量殺傷事件が起きており、本件で被害に遭った在日コリアンの方が抱くであろう恐怖感は計り知れないものがある。


私たちは神奈川県に法律事務所を構える弁護士の団体として、今回のこの脅迫行為を厳しく非難すると共に、ヘイトスピーチ根絶に向けたたたかいに取り組むことを表明する。


2019年1月17日

自由法曹団神奈川支部

支部長 森卓爾

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