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横浜にカジノはいらない

横浜市の林文子市長は,2019年8月22日,カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致方針を正式に表明しました。そして,今後、9月の市議会定例会に約3億円の補正予算案を提出し、同時にIR誘致を推進する「IR推進室」を新設し、2020年代後半の完成を目指す方針であることが明らかにされました。


私たち自由法曹団神奈川支部は,この林市長の「方針決定」という名の「方針転換」に強く抗議するとともに,横浜へのIRの誘致に反対します。


2017年の市長選挙の公約において,林市長は「市民の意見を踏まえた上で方向性を決定する」とIRについては「白紙」を訴え,当選しました。今年に至っても,7月までは,「判断材料がそろっていない」と答えていました。


ところが2019年8月22日に,「7月末に決断した」として林市長はIRの誘致方針を正式に表明したのです。この間,林市長が市民の意見を真摯に聞こうとしたことはありません。記者会見で「判断材料として、市民の意見をどの程度聞いたのか」と尋ねられた林市長は「会合や普段の生活で、いろんな人の意見を聞いている」と述べましたが、参考にした意見の数などは明らかにしませんでした。


この間,住民説明会が行われたのは横浜市18区中4区だけで,その参加者の9割はIRの誘致に反対しています。林市長がいろんな人の意見を聞いたという「会合や普段の生活」がどの範囲のものなのか明確にされておらず,市民がIRに賛成しているというエビデンスは全くありません。加えて、2018年8月に国が実施した意見募集(パブリックコメント)でも、1234名から提出された意見のうち,IRに反対するという意見が829件であったのに対し、これに賛成するという意見はわずか44件であったという事実が検討された形跡もありません。これが市民の意見を踏まえた上での「方針決定」と言えるでしょうか。


カジノについては,そもそも賭博行為を禁止する刑法との整合性をはじめ,反社会的勢力の資金源となることやマネーロンダリングのおそれ,ギャンブル依存者が生み出される等による生産性の喪失や社会コストの増加など,さまざまな問題点が指摘されていますが,それらに対する説得的な処方箋が明らかにされないまま,今回の「方針決定」はなされています。また,林市長はカジノにおける売上げや納付金等による税収増をうたっていますが、多数の利用者のギャンブルによる損失をもって自治体を運営するということはきわめて不健全です。


私たちは神奈川県に法律事務所を構える弁護士の団体として,市民の声を聞かず,従前から指摘されている問題点の検討もなされないままなされた今回の林市長の「方針決定」に強く抗議するとともに,横浜の本当の発展を願う人たちとともに,横浜へのIRの誘致に反対するものです。


以上


2019年8月29日

自由法曹団神奈川支部

支部長 森 卓爾

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